英皇娱乐游戏_英皇娱乐官网¥中国竞彩网推荐

图片

グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



薬草園歳時記(14)野草と山菜 2022年2月


ホーム >  大学案内 >  大学概要 >  薬草園歳時記 >  薬草園歳時記(14)野草と山菜 2022年2月

 山菜とは、山野に自生していて食用にする植物の総称である。ハマボウフウやオカヒジキ、ボタンボウフウのような海浜に自生する食用植物も山菜に含まれる。一方、野蒜(ノビル)や蓬(ヨモギ)など、平地の土手や畦道に自生している植物で食用になるものがあるが、それらは山菜とは言わずに、野草と呼ばれる。

ハマボウフウ(花期:5月頃) 

ボタンボウフウ(花期:7~9月頃)

 山菜は、自家用に採集されるほか、商業的に採集あるいは栽培されて流通販売されるものも多い。林野庁による「特用林産物生産統計調査」(2018年)では、山菜に分類される生産物として次の10品目が揚げられている。

ゼンマイ(3月中旬)

ウワバミソウ(花期:5月頃)

 「わらび」「乾ぜんまい」「たらのめ」「ふき」「ふきのとう」「つわぶき」「うわばみそう(みず)」「くさそてつ(こごみ)」「こしあぶら」「もみじがさ(しどけ)」の10品目である。今回は、これらの中から、静岡県立大学の薬草園で見られるものについて紹介したい。

1.フキノトウ(蕗の薹)
 フキ(蕗、苳、款冬、菜蕗)は、キク科フキ属の多年草である。雌雄異株。早春の若い花茎又は蕾をフキノトウ(蕗の薹)と呼び、春の山菜としてよく知られている。
 葉は通常、花後にでる。地下茎から多くの葉柄を立てて、一部が切れた円い大型の葉をつける。梅雨の頃の葉柄(フキの茎)は瑞々しく柔らかくて、香りが良いので薄味の煮物にして食べるのが良い。

蕗の薹

蕗

 蕗の薹は地方の呼び方でいろいろに表現される。青森県西部の津軽弁では「ばっけ」、秋田弁では「ばっけ」「ばんけ」「ばっきゃ」、山形県の庄内弁では「ばんけ」、アイヌ語は「マカヨ」という。また、アイヌ語でフキは「コロコニ」または「コルコニ」と発音する。

 英語では、Japanese Butterbur、Giant butterbur、あるいはFukiという。漢名では蕗と書き、中国植物名では蜂闘菜(ほうとうさい)とも呼ばれる。

 蕗の薹は油で調理することで、苦みがマイルドになって食べやすくなる。汚れた外葉は取り除き、葉を開いた状態で揚げる。折り目をつけるくらい葉を開ききって片栗粉をまんべんなく全体にまぶし、余分な粉を軽く叩き落とす。油につぼみの部分が下にくるように入れて火を通す。1分ほどで裏返し、何度か上下を返しながら、カラッとするまで揚げる。蕗はつぼみだけでなく葉も茎も天麩羅にして食べる。

2.ツワブキ(石蕗)
 ツワブキ(石蕗、艶蕗)は常緑の多年草で黄色い花を咲かせ、葉柄は食用になる。石蕗の沖縄方言は「ちぃぱっぱ」、奄美方言は「つばしゃ、つば」、宮古方言は「つぱぱ」、八重山方言は「ちゅぶりんぐさ」(頭の草)と呼ばれる。中国の標準名は「大呉風草」(だいごふうそう)であるが、一葉蓮、活血蓮、八角烏、金缽盂などの異名がある。台湾語では「乞食碗」または「山菊」と呼ばれる。

11月中旬の県立美術館ロダン館裏山展望台のツワブキの群生

 日本では、「石蕗の花」や「いしぶき」が初冬の季語とされている。島根県の津和野の地名は「石蕗の野(ツワの多く生えるところ)」が由来であるという。主に海岸沿いに多く自生し、岩の上や崖の上などにも生える。潮風など厳しい環境下に耐えるために葉は厚く、表面に光沢がある。植物名はツヤ(光沢)ブキが転訛したとされる。観賞用に庭園によく植えられ、園芸品種が多くある。

 薬用には、解毒、排膿、皮膚病を目的に、通常生薬を用いる。食用には、フキの下処理の仕方とほぼ同じで、葉柄の皮を取り去って茹でる。よく水にさらし、苦味をとって調理する。鹿児島県や沖縄県を中心に西日本の一部地域ではフキと同じように葉柄を食用としている。奄美大島の料理では塩蔵した骨付き豚肉とともに煮る年越しの料理「うゎんふねぃやせぅ」の具に欠かせない。沖縄県でも豚骨とともに煮物にして食べる。フキを原料にした煮物、佃煮と同様に「キャラブキ」と呼ばれることもある。炒め物や飴煮の「つば菓子」にも使われる。ピロリジジンアルカロイドを含むため、軽くゆがいて皮を剥き、酢を少量加えた湯で煮直し、1日以上水に晒すなどの灰汁抜きが必要であり、フキよりも準備に手間がかかる。鹿児島県などでは、灰汁抜きしたものが市場で売られており、また、灰汁抜きした状態で冷凍保存する。

3.コシアブラ(漉油)
 コシアブラ(漉油)はウコギ科コシアブラ属の落葉高木。別名は、フイリコシアブラ、ゴンゼツ(金漆)。歳時記では金漆と書いて「こしあぶら」と読んでいる。春先に伸びる独特の香りを持つ新芽が食用となる。タラの芽と並ぶ山菜として扱われ、食用とする場合は大きく伸びていない芽を摘み取り、元のほうにあるハカマの部分を除いたものを調理する。ハカマも可食で、菜飯やかき揚げの材料となる。肥沃な土地にあるものは、太いだけでなく養分が多く美味である。強い苦味があるため、苦味を和らげる天ぷらにすると食べやすい。またおひたしや和え物などにも調理され、塩漬けにして保存食とされる。コシアブラは中国地方では「バカ」と呼ばれ、新芽をバカの芽と呼び食用とする。

 コシアブラは放射性物質を蓄積しやすい性質があるとされ、福島第一原子力発電所の事故により汚染され、出荷制限措置が執られた。

 食べ方の定番は天ぷらである。濃い衣にくぐらせてカラリと揚げる。加熱調理することでアクが和らぎ、根元はオクラを思わせる食感で、葉の部分はセリのような強い風味がある。ゆでる場合には、水にさらしたものを絞って刻む。醤油とかつおぶしでおひたしにしたり、酢味噌で和える。混ぜご飯の場合は、こしあぶらを刻み、炊き立てご飯に混ぜ込む。胡麻油で炒め、醤油で味付けしたものを混ぜ込んでもよい。

4.モミジガサ(紅葉笠)
 モミジガサ(紅葉笠)は、キク科コウモリソウ属の多年草で、別名、シドケ、シトギ、モミジソウという。春、茎が20~30cmに伸び、茎先の葉がまだ開いていないものを山菜として食用にする。茎の高さが60~80cm。葉は長い葉柄をもって茎に互生し、葉柄は茎を抱かない。葉はモミジ状に裂けて、表面は無毛で裏面にはまばらに絹毛がある。茎の中が空洞で葉の形がもみじに似ていることから「モミジガサ」と言われる。葉身は長さ15cm、幅20cmになる。

 モミジガサは東北ではシドケ呼ばれ、秋田では昔から人気があった。最近は山形でも食べる。東北や関東地方などでも、人気が高まり、天然物では供給が追い付かなくなって栽培が盛んに行われるようになった。最近では全国的に葉物系山菜定番のひとつになっている。シドケは葉を食べるのではなく茎を食べる。大人の味を楽しむためには茹でただけのおひたしにする。くるみ和えやイタリア料理などさまざまに利用する。

 モミジガサの芽生えはヤマトリカブトに似ている。ヤマトリカブトは山地の林に自生するキンポウゲ科の多年草で、草丈は1m内外で、花を付ける頃には茎が下垂する。また、キンポウゲ科のニリンソウとも芽生えの時期ともに初期の形体が似ているので間違えることがある。トリカブトの仲間は植物全体、特にその芽、葉にもアコニチンなどのアルカロイドを含有しており、誤食すると、嘔吐、下痢、手足や指の麻痺の中毒症状を起こし、重症の場合には死亡することもある。

5.クサソテツ(草蘇鉄)
 クサソテツ(草蘇鉄)はコウヤワラビ科の落葉性の多年草。オシダの一種で、別名コゴメ、カンソウ、ガンソウ、カクマという。若芽はコゴミ(屈)という。日本各地、中央ヨーロッパおよび北ヨーロッパ、北米大陸の北東部の河川敷や山麓の湿地に自生する。また観葉植物として庭に植えられることも多い。

 コゴミは、ワラビ、タラノメ、ウド等とともに日本人には古くから馴染み深い山菜のひとつである。5月上旬から6月中旬に渦巻状に丸まった幼葉を採取し、おひたし、サラダ、ゴマ和えなどの和え物、天ぷらなどにして食べる。ワラビほど強くないが、独特のぬめりがあり、ゼンマイなどと違ってアクがないため調理が容易である。おひたしにして鰹節をまぶしたり、油でさっと炒めて食べるのが私は好みである。

 比較的陽当たりの良い斜面などを好み、大抵は群生しているため収穫が望める山菜である。林の中にはなくて、山道の道端や崖の下など水はけがよく湿った場所に生える。草が生える前に出揃うので収穫も容易である。成長が非常に早く、その場所ごとに収穫期間が短く限られるため、こまめに下見を行なう。

6.タラの芽
 タラノキの芽(タラの芽)は山菜としての利用が知られているが、樹皮は民間薬として健胃、強壮、強精作用があり、糖尿病にもよいといわれる。

タラの芽

タラノキ(花期:8月頃)

 タラの芽は新芽の根元でむしりとる。鎌などを用いることもある。採取は先端から上に向いた1番の芽と、その脇から斜めに伸びる2番の芽までとする。側芽まで取ってしまうとその枝は枯れる。胴芽も採らない。幼い一本立ちのタラノキ(高さがだいたい膝から腰くらい)の頂芽を取ると、その幼木全体が枯れてしまう。韓国のタラの芽農家では、収穫のあと適当な数だけ残して枝を切り取る。夏に再び大きくなる。放置するとタラノキは高さ3~4mになり芽の収穫が困難になる。

 新芽の採取時期は桜の八分咲きころである。温室で栽培したものは、早春や夏、場合によっては冬にも収穫可能である。

 料理法は、若芽を天麩羅にするのが一般的である。茹でておひたしやゴマ和えにしたり、炒めて食べてもよい。韓国では浅く茹でてチェコチュジャン(酢コチュジャン)をつけて食べる。また、醬油漬けにすると苦みが減少し、独特の芳香が濃くなる。

 薬用としては、樹皮はタラ木皮、根皮はタラ根皮と呼ばれ、生薬として用いられる。樹皮の部分は刺老鴉(しろうあ)とも呼ばれる。乾燥させたタラノキ皮を煎じて、1日3回に分けて服用すると、血糖降下、健胃、整腸、糖尿病、腎臓病に効用がある。芽を食べることで同じような効果が期待できると言われている。根皮も「タラ根皮」(タラこんぴ)という生薬で、糖尿病の症状に用いられる。高血圧や慢性胃炎には皮つき枝を刻んだものでお茶代わりに飲用することもでき、常用しても支障は出ない。暖める作用がある薬草で、熱があったり、のぼせやすい人や、妊婦への服用は禁じられている。

 タラノキ(Aralia elata)はコシアブラ(Chengiopanax sciadophylloides)と同じウコギ科だが、こちらは低木という分類になる。他にウコギ科にはヒメウコギ(Eleutherococcus sieboldianus)、エゾウコギ(Eleutherococcus senticosus)、ウド(Aralia cordata)などがあり、食用や薬用によく利用される。

ウド(花期:6~8月頃)(薬草園提供)

 タラの芽はウドと香りと味がよく似ている。ウドは大型の落葉性の多年草で、山野に生える。新芽や若葉は香りが良く、美味しいので人家で栽培される。又、ウドの根茎はドッカツ(独活)という生薬になり、日本薬局方に収載されている。漢方薬に配合され発汗、駆風、鎮痛などに用いられる。

たらの芽や顔それぞれの生ひとつ   草間時彦
多羅の芽の十や二十や何峠      石田波郷

里山は土豪の古墳蕗の薹         和夫
出品は春子さんなり蕗の薹
朝市やどの店も置く蕗の薹
山菜を五感の味に春の宵
十人に十の歳時記蕗の薹

(静岡駅パルシェ食彩館で購入した山菜などとタラの芽と蕗の薹の天麩羅 尾池和夫による)

今回も記事の内容には薬草園の山本羊一さんに多くのご意見をいただき、山菜など多くの写真を提供していただいた。


尾池 和夫


薬学部の薬草園サイトはこちらからご覧ください。
https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/~yakusou/Botany_home.htm

キャンパスの植物は、食品栄養科学部の下記のサイトでもお楽しみいただけます。
https://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/four_seasons/

下記は、大学外のサイトです。
静岡新聞「まんが静岡のDNA」の記事でも薬草園を紹介しました。
https://www.at-s.com/news/article/featured/culture_life/kenritsudai_column/742410.html?lbl=849

モバイル表示

PC表示